英語の冠詞 a / an / the — 使い分けをやさしく整理
冠詞は名詞の前に置いて、その名詞が「いくつあるか」「読み手・聞き手にとって特定できるか」を示す小さな語です。日本語にはない仕組みなので、日本人英語学習者が長く悩むテーマでもあります。小学校段階で a / an や play the piano のような表現に出会い、中学校で a / an / the と無冠詞 の使い分けを整理・拡充していきます。本記事ではこの3つの選び方を 頻度の高いルール5つ + よくある間違い に絞って整理します。
この記事のポイント
- a / an は 初めて話に出す数えられる名詞の単数形 につける。うしろの語が母音の音で始まれば an(an apple / an hour / a university の音判定)
- the は すでに話に出た / 状況で1つに決まる / 世界に1つしかない 名詞につける(the sun / the moon / the Internet)
- 不可算名詞(water / information / advice)と 複数名詞の一般的な意味(I like dogs.)は 無冠詞
- play the piano(楽器)には the、play tennis(スポーツ)は無冠詞、という定型を覚える
- 固有名詞は基本 無冠詞(Tom / Japan / Tokyo)。ただし the Sumida River / the Pacific Ocean / the United States のように セットで the が付く例外もある
a と an の選び方 — 文字ではなく「音」で決める
a と an は うしろにくる語の最初の音 で決まります。母音字(a / e / i / o / u)かどうかではなく、実際の発音が母音の音で始まるかどうか がポイントです。
注意したい音の例外
つづりの最初の文字に引きずられて間違えやすい語があります。音 で判断します。
an hour — h が黙字(発音されない)なので /aʊər/。母音の音で始まるので an。同様に: an honest man
a university — u だが /juː/ という「ユー」の子音 y の音で始まるので a。同様に: a useful tool / a European country
a / an はいつ使う? — 「初めて話に出す」「1つの〜」
a / an は数えられる名詞の単数形につき、「1つの〜」あるいは「(どれでもいいから) 1つの〜」を表します。文脈に 初めて出してくる ときに使うのが典型です。
I have a dog. — 犬を1匹飼っている。(聞き手にとっては初耳)
She is a teacher. — 彼女は教師だ。(職業を1つの分類として示す)
Can I borrow a pen? — ペンを1本借りていい?(どれでもいい1本)
複数形の名詞(dogs, books, pens)には a / an は付きません(複数は「1つ」ではないので)。複数形を不特定で言うときは 無冠詞のまま、または some をつけます: I have dogs. / I have some dogs.
the はいつ使う? — 「特定できる」サイン
the は 聞き手 (読み手) にとって「どの〜」かが特定できる ときに使います。代表的なパターンは次の4つです。
① すでに話に出た名詞をもう一度
I have a dog. The dog is very friendly.
最初の dog は a(初出)、2回目の dog は the(聞き手はもう「どの犬」か分かる)。これが a → the の最頻パターン。
② 状況・場面で1つに決まる
Close the door, please. — ドアを閉めてください。(その場のドア = 1つに決まる)
Pass me the salt. — 塩を取って。(食卓の塩 = 1つに決まる)
③ 世界・地球に1つしかないもの
the sun / the moon / the earth / the sky / the world / the Internet
天体や地球規模のものは「みんなが同じものを指す」と分かるので the。
④ うしろの語句で限定された名詞
the book on the desk — 机の上の本(文脈上「机の上の本」でどれか特定できるとき)
the boy I met yesterday — 昨日会った男の子(関係代名詞 で限定)
💡 the は「あの」に近い感覚で使えることもありますが、本質は 聞き手にとってどれかが特定できる こと。日本語の「あの」と一対一で対応するわけではないので、上の①〜④のパターンで判定するのがおすすめです。
無冠詞 — 冠詞を付けない場合
冠詞は 何も付けない(無冠詞) が正解の場面もあります。中学範囲では次の基本パターンを押さえます。
① 不可算名詞(数えられない名詞)
I drink water every day. — 毎日水を飲む。
Music makes me happy. — 音楽は私を幸せにする。
water / music / information / advice などの不可算名詞には a / an が付きません。詳しくは 可算名詞と不可算名詞 の記事を参照。
② 「一般的に〜は」を表す複数形
I like dogs. — 私は犬が好きだ。(特定の犬ではなく、犬という動物一般)
Cats are cute. — 猫はかわいい。(一般的な「猫というもの」)
③ 固有名詞(人名・地名 など)
Tom lives in Tokyo. — トムは東京に住んでいる。
人名・国名・都市名などの固有名詞は、名前として特定の人や場所を指すので、基本的に冠詞を付けません。ただし the United States / the Sumida River / the Pacific Ocean のように、「合衆国・川・海・砂漠・山脈」など範囲を表す語とセットになる固有名詞には the が付く という例外があります(中学では出てきた語ごとに覚える)。
④a 学校・食事・寝るときの「機能としての名詞」
go to school — 学校に通う (建物ではなく「勉強の場として通う」意味)
go to bed — 寝る (家具ではなく「寝るために」)
have breakfast / lunch / dinner — 食事をとる
対比: I went to the school to meet the teacher.(教師に会いに学校に行った — 建物としての学校)には the が付きます。
④b 交通手段の by + 乗り物(慣用表現)
by bus / by train / by car / by bike — バスで/電車で/車で/自転車で
これは by + 交通手段 という慣用表現で、冠詞は付けません。詳しくは 前置詞の記事 の「by / with の使い分け」を参照。I take the bus to school.(バスに乗って通学する)のように動詞が違うときは the が付くこともあります。
play the piano / play tennis — 楽器とスポーツで使い分け
中学テスト・英検3級で頻出の定型ペアです。理屈で覚えるより、2つの代表例 をセットで暗記するのが近道。
楽器 = the が付く: play the piano / play the guitar / play the violin
スポーツ = 無冠詞: play tennis / play baseball / play soccer / play basketball
学校英語では play the piano(楽器に the)と play tennis(スポーツに無冠詞)の定型としてセットで覚えるのが近道です。「特定の1台のピアノ」を指すわけではなく、この表現の 慣用 として覚えてしまうのが実用的です。
よくある間違い
❌ I have a apple. → ⭕ I have an apple.
apple は 母音の音 /æ/ で始まるので an。a と an は うしろの語の最初の音 で決まる。
❌ I waited for a hour. → ⭕ I waited for an hour.
hour の h は 黙字。発音は母音の /aʊər/ で始まるので an。逆に university は /juː/ という子音 y の音で始まるので a university。
❌ I have a information. → ⭕ I have some information.
information は 不可算名詞。a / an は付きません。「いくつかの〜」は some を使う、または a piece of information で1つを表す。
❌ I play the tennis. → ⭕ I play tennis.
スポーツは 無冠詞。逆に楽器は play the piano のように the が付く。
❌ I go to the bed at 11 p.m. → ⭕ I go to bed at 11 p.m.
go to bed(寝る)、go to school(通学する)など、機能としての名詞 は無冠詞。「家具・建物として」を強調するときだけ the を付ける。
❌ The Tom lives in the Tokyo. → ⭕ Tom lives in Tokyo.
人名・都市名・国名のような 固有名詞 には基本 the を付けません。ただし the United States / the Pacific Ocean のような「合衆国・海・川・砂漠」系のセット表現は the が付く。
英検・試験での出題パターン
- 英検5級〜4級: a と an の選択(音による使い分け)。
例: I have ( ) apple. ① a ② an ③ the → 答え: ②(apple は母音の音) - 英検4級〜3級: a → the の流れ(初出は a、2回目は the)。
例: I bought ( ) book yesterday. ( ) book is interesting. ① a / the ② the / a → 答え: ①(初出 → 2回目) - 英検3級: play the piano / play tennis の使い分け、無冠詞の go to bed / go to school。
例: She can play ( ) piano. ① a ② the ③ なし → 答え: ②(楽器は the) - 英検3級〜準2級: 不可算名詞には a / an が付かない。
例: Can you give me ( ) advice? ① a ② an ③ some → 答え: ③(advice は不可算) - 英検準2級〜2級: 世界に1つしかないもの や 限定された名詞 の the。
例: ( ) sun rises in the east. ① A ② An ③ The → 答え: ③(太陽は世界に1つ)
冠詞は例文ごと覚えるのが近道
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関連ページ
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- 前置詞 — in / on / at と冠詞の組み合わせ
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- 比較級・最上級 — 最上級の前の the のルール
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- 英語の接続詞 — that 節を導く語の使い分け
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